左官職人の兄が使っていた道具をほぼそのまま残してもらっています。兄は平成19年に56歳で亡くなりました。弟の私が兄が生きた年齢を大きく超えた今、無理はできないものの十分に使える体がまだあります。そのことを考えると兄は左官職人としての絶頂期に逝ってしまったのだと思います。
兄は、亡くなる1年半ほど前に白川村和田家の修復に携わています。文化庁の仕事でした。亡くなってから和田家を訪れたとき、当主の和田さんに兄のやった仕事を案内していただきました。白川村まで行って仕事をしていることは知っていましたが、そんないい仕事をさせてもらっていたとは。
作業中に記者さんの取材があったのでしょう。写真にはにかみながら鏝をはこぶ兄が写っています。兄は人としても職人としても尊敬できる存在でした。
コメントをお書きください